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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第2章 動き出す神々 Action of Gods 木の国
181/182

181.情報

さて、いろいろやるべきことが増えてしまった感じがある。といっても最終的にはアマテラスこと天野にも会わなきゃならないからついでに片づけることもできるだろう。

最も重要な目的はあくまでも東夷東征のルートについてだ。俺の影響下にある北日本まで出張ってくるのか、それとも関東近辺までとなるのか。

これは歴史でも明確にはなっていない。大方の見方としては関東近辺までなのだが。

不安要素としてはこの時代の交易や人の流れのメインルートが日本海側だということだ。戦略上も日本海側のほうが重要なのだ。

夕方になると交代の衛視がやってきた。夜番の衛視は武器の扱いに慣れた普通の兵士のようだった。

「初日はどうでしたか?何かわがままを言われたりはしませんでしたか?」

兵士の詰め所で今朝案内してくれた女性から声をかけられた。

「いえ、集落内を散策しておとなしく書き物をしていただけです。」

「やっぱり役に立つような技術は持ってなさそうですね。では、明日もよろしくお願いします。本来技術持ちの方の監視は細かな報告が必要ですが彼女の場合は今後もよさそうですね。」

「ええ、彼女はもとお姫様ですから何もできませんよ。それに比べたら私などいくつもの群を統括する県令でしたからきっとお役に立てますよ。軍も率いたこともありますし。倭語も今ではしっかりできますし。私ほど優秀なものはここにはいないでしょう。」

うざったい雰囲気の男が会話に横から入ってきた。

昼に劉麗さんから教えてもらった楽浪郡の元県令という男だ。

「はい、あなたのことはアマテラス様にもご報告しますのでお待ちになってください。」

たぶん案内してくれた女とこの元県令とのただならぬ関係だろう。

男は監視対象であるにも関わらず詰め所に入り浸って自分の売り込みに余念がないようで、他の衛視や役人も何も言わない。

「では、失礼します。」

俺は何もないならと早々にこの場を離れた。


翌朝は日の出とともに衛視と交代して護衛に就いた。

この時代、基本的に仕事のはじまるのは日の出と共にだ。

劉麗さんは彼女が知ってる限りの情報を教えてくれた。

それも周りに気取られないように、歩きながら一方的に話してくれた。

俺は相槌もうたずに黙って聞いているだけだ。

漢語のわかるものが近くにいない限りばれることはないだろう。

昨日、俺が情報を得るためにやってきたことは少しだけ話をした。

「ということで、お目当ての情報をさらに詳しく知るとなるとアマテラスの近くに行かないと無理だろうねー。」

劉麗さんはこれで知っているすべてだという意味だろう、最後にそういって昨日と同じ栗の木の大木の根元に座って詩を作りはじめた。


俺が知りたかったのは軍事的な知識が大陸からもたらされているかどうかだった。

劉麗さんの話では漢の地方の王に仕えていた将軍が2名ほどこの集落にいたそうだが、劉麗さんが入ってくるのとほぼ同時に集落の外に出て行ったそうだ。迎えに来た様子からかなり上級の対応だったから軍事顧問か何かになるのではないかとのこと。

まだ兵器といえるような武器は少ない。剣か槍、鉾ぐらいで、その使い方も各自任せ、今までの戦争はかなりいい加減だったが、これからの戦争は兵の練度と用兵次第となってくるだろう。そのための人材を得たということだろう。


劉麗さんはふと「絵も描きたいわねー」と洩らした。


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