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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
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18.オーダーメイドの靴

ルェケムクル(皮の針の人)とよばれる職人が大きな荷物を抱えて夏の地の宮にやってきた。

彼は動物の皮を使った服や靴を作る専門家だ。そして、火山調査にも参加する。彼は様々な動物の皮を持ってきた。

これで靴を作るのだが、いくつか見本も持ってきた。通常は革製の靴は冬用が多いという。少し大きめに作り中にカヤなどを柔らかくしたものを敷き詰めて保温にする。夏場はそのカヤのような植物でわらじに似たものを作っているが、それは専門職人ではなくて誰でも作れるので各人冬の間に作って主に集落内で使っている。少し出かけるときは草で編まれた靴のようなものを履いていて、冬場の集落内もそれで歩く。

今回は狩猟採集の人々が履く靴を参考に作ることにした。膝下までのブーツタイプだ。ブーツタイプは冬用は大きめに作っていて中に保温の草が入るが、夏山用は保温が無いぶんタイトで、甲の部分が分かれているので、編み上げのような感じにしないと足が固定されない。この時代当然のことながらファースナーは無いし金属のはと目もないので、木の繊維を撚って作った紐で編み上げるような形になる。

ルェケムクルは俺の足の下に皮を布いて手際よくサイズや形を墨で線をつけていく。作りは簡単なので翌日には出来上がるという。そして靴底はカヤのような植物で作ったワラジのようなものをつけて、何か所かから紐を通して固定するようにした。このワラジのようなものは交換が効くように何枚か持っていくことになるという。かなり快適そうだが靴が合わないと長距離の移動が大変なので、集落内で履いて少し慣れようと思った。


靴ができて俺の行動範囲は広がった。


次に葡萄の背負子を用意してもらう。葡萄蔓でつくったリュックサックだ。

これは最近まで各家庭でそれぞれで作られていたが、葡萄蔓の籠が他の葡萄蔓の少ない地域でも欲しがるようになったことから、生産余力のある無期の季節に皆でまとまって作るようにもなった。

葡萄蔓の収穫は新芽がでてすぐの雨の日から数日に限られるので、その数日に集落のものが一斉に山に入り蔓の収穫を行う。なので、この集落では葡萄蔓は一度集落の共有財産になる。

冬の無期に交易用やそれぞれの仕事内容に応じて籠が作られる。ちなみに、5月の末ごろでこの葡萄蔓の最初の収穫の日は自然暦の生命の日といわれている。その山葡萄が実をつけて収穫できるようになる秋にも同じ生命の日がある。どちらも自然暦の中では重要な日にちになる。


というわけで、新たに作るのではなくて、既製品の大きな籠に背負えるように肩紐をかけてもらう。皆、俺は荷物を持たなくていいと言ってくれているが、1人手ぶらも申し訳ない。皆よりはひとまわり小さいが、手ごろなサイズの背負子を用意してもらった。


他に必要なものとして、黒曜石のナイフとそのナイフを木の先に取り付けた槍のようなものも用意してくれた。黒曜石は入荷が滞っている貴重品だ。食材は乾物を最低限持ちあとは現地調達、そして現地の人々に世話になるという。交易品の中から現地の人に対価になりそうなものを選んで持っていくという。八甲田も十和田も火山活動が活発化しているが、山中にはそれなりに人が住んでいるという。


ちょうど7月に入るころ調査のための準備が整った。

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