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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第2章 動き出す神々 Action of Gods 木の国
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169.バトンタッチ

ツイマは漢帝国の高位の官僚だったが、腐敗する朝廷に嫌気がさして仲間3人と国を出た。

国を出る際に西域から来たサブロウ(サウロ)と出会い5人で逃亡の旅を始めたという。

高句麗までは漢の影響下が強いので知り合いの商人に頼んで船の積み荷に紛れての旅で国の状況はよくわからなかったという。ただ、どこも国内に問題が山積しているようで他国への大規模な侵略やその準備には出くわさなかったという。ただ、その国内の問題が外部の国によるものではないかと疑心暗鬼になっているのが朝鮮半島の国々の状況らしい。


「高句麗を出て海を渡ってからの状況を教えて欲しいのですが。」


「高句麗を出て、というか海を渡る直前から国というか集落国家が乱立しておりまして、海を渡ってからも同じ状況でした。その集落国家は時にお互いを攻め立てていますので、難民が多数東へ東へと移動しています。」


「こちらまで来ている者はいないようですが」


「はい、ほとんどが新しい八山戸ヤマトへ住み着いています。」


「新しいヤマトとは?」


「神々が起こしたヤマトはいくつかの衛星集落を作ってそのどれもがヤマトを名のっています。海を渡った者達はその一つの最も山側にあるヤマトに集落を作って住んでいます。」


「山側ということは食料は狩猟なのかな?」


「いえ、そうではありませんでした。中心のヤマトの大巫女とよばれている方の指示で交易と土木工事に従事することで食料を得ているということです。」


「ヤマトでは大きな乱やその兆しのようなことはありませんでしたか?」


「大乱の兆しはありませんでしたが、新しいヤマトは海を渡った者達だけで集落を作っているので、技術の差がかなりあります。なんせ漢の技術指導を受けた高句麗など大陸系住民、しかもそれなりの集落の長レベルの人たちが技術者を伴って来ています。やがて本家のヤマトと力関係に影響が出てくるのではないかと。何やら集落の名前をアスカと呼び始めたようですし。大巫女様以外はそれをよしとはしないようで。」


アスカということは現在の明日香村あたりのことだろうか。だとするとかなり山のほうということになる。大規模に水田を作るのには向かない気がする。ただ、川の上流で小規模な水田は洪水の影響を受けにくく比較的安定した収穫が期待できるだろう。一方、中心のヤマトは平野部に面して大規模な水田を作ることができるが、旧来からの集落との諍いや、大きな川の影響で洪水などに見舞われやすい。大乱が起きれば守りの上でもアスカのほうが分があるだろう。まして、山間の集落なので犠牲を払ってまで獲得したいと思うものはいないはずだ。


それより、アマテラス改め卑弥呼こと天野は大巫女を名のっているのか。まぁ卑弥呼の登場にはまだ少しだけ早いからだろう。時代的には100年ちょっと早いが、着々と準備だけは進めているに違いない。


「私どもも大巫女様から直接声を掛けられて、新しいヤマト集落に住むことを勧められましたが、正直いまさら人の下について働きたいとも思えませんのでお断りしてきました。その際、北の大地でユウダイ様という方に出会ったら”もう少しでバトンタッチ”と伝えて欲しいといわれたのですが、こちらに来てそのような名前の方には出会いませんでしたし、機会があるたびに人に尋ねるのですが・・・。オホシリ様はゆうだい様という方をご存知ではないでしょうか?」


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