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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第2章 動き出す神々 Action of Gods 木の国
166/182

166.旅人の役割

「その者達でしたら、呪術師とトワリの山に行っております。2,3日で戻ると言ってましたので、今日か明日には戻ってくると思います。それまで、どうぞご自由にお過ごしください。そのかわり、深緑の王国の方は世情にとても明るいと聞きます。ぜひ、西方の国の話などをお聞かせください。」


「はい、よろこんでお話させていただきます。特に西方で大きな戦争がありましたが、その情報はこちらにはもう伝わっておりますか?もし、まだであればお話したいと思いますが。」


「いえ、西方の戦争は、ここに来た異国の方々から戦争があるかもしれないとの話を伺っただけで、まだ何も。」


この時代、もっとも重要なのは物品よりも情報だ。俺が転生したころも情報はもちろん重要だが、交易人同士の情報交換で事足りていた。当時は旅人というのはほとんどいなかったが、この時代になると、情報を提供しながら衣食と泊まる場所を提供してもう旅人という一種の職業のような人が散見させるようになってきた。中には気に入った集落では居候、食客として集落運営の手伝いをするようなものまでいる。情報を提供しながらも、次の訪問先で伝えるための情報収集も欠かせない。俺も深緑の王国で3,4人、多い時で10人ほどの食客を抱えている。現実的には呪術師よりも有用かもしれない。そんな状況が呪術師の質の低下を招いたのかもと考え事に耽る。


「では、夜にでも皆様とお話いたしましょう。」


集落の長の名前はウタリアン(仲間のいる)というアイヌ語系の人名だ。他の長老たちの名前を聞いても倭語を使った名前はまだ多くないようだ。少し昔に戻ったような懐かしい気持ちにさせてくれた。


夕方には呪術師と異国の者達が戻ってきた。異国の人は2人ぐらいと思っていたが5人もいて驚かされた。その5人とも倭語と縄文アイヌ語どちらも堪能だった。

ただ、集落の長との約束もあるし、昨晩息子とした約束もある。

先方の話は翌日聞くことにして、俺は古事記の内容で国譲りの少し前、大国主神さまの因幡白兎からはじまって、国譲り、そして神武東征までの話を皆にした。

出雲の巨大神殿の話もしたが、それは深緑の王国の巨大木造集落のことを知っているのでさほど驚かなかったようだ。


酒盛りをしながら夜もだいぶ遅くなるまで話をした。


息子は目を輝かせながら俺の話に聞き入っていた。

「父上、できればアシワラナカツクニのおじい様にお会いしたいです。父上の設計された巨大神殿も見てみたいですし。」


「そうだな。母上も連れて次の旅は大国主神さまにお会いしに行こう。」

早めのほうがいいだろう。西方の情報収集も今後重要度は増してくるし。


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