表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第2章 動き出す神々 Action of Gods 木の国
162/182

162.やっとの帰宅

ようやく面倒な仕事が片付いて深緑の王国に戻ることができる。

実際には東征後半の見せ場は同行しなかったし、その後もいろいろ面倒なことが起きそうだったが、はやく北に戻りたい一心で大国主神様と別れを惜しみながら出発した。


ヒスイの産地、おそらく糸魚川の集落だと思うが、そこの長と仲良くなった。東夷東征が行われるとしたら通過しそうな集落の長とは仲良くしておいたほうがいいだろうと思うのと、ものづくりに熱心な彼と話が合ったのだ。神殿落成の宴のあと集落に戻る道中を共にした。


ヒスイの加工もできるように、新しい技術やデザインを伝えた。

これまで、最終の仕上げは別の集落や、交易先で加工されることが多かったが、大半を産地で直接加工することで、交換率は高くなり集落の利益につながる。交易相手も加工済みのヒスイが手に入ることで、原石を輸送するよりは荷物を軽くすることができ無駄がなくなる。

これまでも勾玉、管玉、耳飾りなどはあったが、これからは国権の発達とともに、中国の影響も出てくる。そこで、いち早く玉壁や玉斗の生産ができるような技術も必要だと思う。

そしてヒスイの流行をきちんととらえて、人々に受け入れてもらえるデザインを考えて、発信していく必要もある。

ただ流行遅れになったときや、嗜好が変化したときに加工してしまうと在庫を抱えることにもなるので要注意だ。

そんな話をしながら意気投合、お互いの今後の交流を約束して、この地からは舟で北に戻ることにした。


もう子供が歩いたり喋れるくらいになっていた。

妻のヤエは子育てと集落運営とを両立させていた。


基本自給自足集落だし、国権ができあがってるわけではないので、決済が必要な事案はほとんどない。

問題がなかったわけではないが、自然相手なので臨機応変、それぞれが立ち向かって事にあたっている。全てが当事者であり、責任者でもあるから、わざわざ俺に決済を求めるようなことはほとんどないのだ。


ただ、東の一部の地域に異邦人が現れたとか、採集・狩猟をするわけでもない集団が野山を歩き回っているなど、集落民が不安に思う事案がいくつか報告された。


異邦人といえば、青森県のキリストの墓が気になるところだ。

ここにはないはずの宗教を隠れて広められても困るし、調査が必要だろう。なにより、わざわざ海の向こうからの訪問者なら歓迎すべきだし、技術や様々な情報も得る必要がある。


加えて、野山を歩き回る集団は、もしかしたら鉱山を探しに来ているヤマトなど西のほうの人かもしれない。

こちらも、鉱山については先に場所を押さえておいたほうがいいだろう。


ただ、今の自給自足中心で職業化されていない状態では、鉱脈探しに専任で人を充てることは難しいかもしれない。コメのように余剰食糧を生産できる状態なら、それを使って専従化させることはできるかもしれないが、ここではそれが難しい。せいぜい、ソバ、ヒエ、アワなどの雑穀類が限度だろう。


正直、せっかく戻ったのだから留守にしたくないというのが本音だ。

妻と子供と水入らずで過ごしたい。なんせ、俺はまだまだ朽ちることはないが、妻や子供は普通に歳をとってやがて死んでいく。一瞬一瞬を大切にして過ごしたいのだ。


子供のイキ(岩城)はもう10歳を過ぎている。体力も十分だし、見分を広める必要もある。ヤエに相談して家族の慰安もかねて3人で東側の地域へ出かけることにした。


久々に、塔の集落に立ち寄った。一時より衰退した感じがあったが、みな元気でやっているようだった。塔はもう作っていない。だから塔の集落というよりは、普通の自給自足系集落のような感じになっている。少し寂しい感じがする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ