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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
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16.土偶

土偶は青森亀ヶ岡遺跡出土の重要文化財の遮光器土偶や北海道著保内野遺跡出土で国宝の中空土偶の茅空などが有名だ。

これらは比較的大きくて作りも立体的でしかもその独特の姿から有名で知っている人も多い。その他多くは手のひらサイズの小さな平べったい形状の土偶が多数出土する。

現代ではこれはお守り的なものと考えられていた。実際聞いてみるとお守りとして皆大切に持っているが、別の使い方もあるという。


それは一種の割符のような使い方だが、この契約は対等で双方が土偶を割って交換する。

自分の分身、体の一部を割って交換することと同じだそうで、約束を破る者はいないという。天変地異などで約束が守れないときは、巫女や呪術師が仲介し、治めるという。


どういう契約の時に使うかというと、一番多いのが時期がずれる物との交換のとき。

つまり春採れたものを先に相手に渡す代わりに、その相手は秋採れるものを渡すという簡単に言うと時間差で取引をしなければいけないときに交わすのが多いという。通常、家族や氏族内では口約束でも十分なんだけど、別の集落や交易相手などと取引する場合。同じ氏族内でもイレギュラーな取引をしなければいけないときなどにやる方法だという。最初の取引で双方が土偶を割って交換、取引完了時に双方が再び交換してもとに戻るというものだ。


交易系の集落では数多く作られる。一方で自給自足系の集落ではあくまでもお守りや呪術的な身代わりや護符として大切に使われていて、契約用には使わないらしい。大きな土偶の使い方も今度聞いてみたいと思う。


ちなみに、自給自足系集落といったが、この集落も集落全体でみると自給率100%といっていい。

では何が違うかというと、自給自足系集落は個人や家族レベルで自給自足ができる集落。つまり、家族で土器を作り、採集もし、家族総出で備蓄のための加工もするような小、中規模の山間集落。

自給自足系の中規模集落では家族のつながりや狩猟場、採集場を示すストーンサークルがあるところが多い。

俺がいるところは交易系集落。同じ自給自足でも集落単位で自給率が100%で家族単位ではない。つまり、完全ではないが職業化している場合が多い。そのため、契約ごとが多く小型の土偶が多く作られる。もちろん通常の生活サイクルでは契約せずとも暮らせる。

例えば大堂や塔で使われる土器造りを中心にする家族には食料などが働きに応じて分配される。一方で、突然、別の家族からキノコ用の漬物土器を秋までに10個とか発注があると、それに見合う、食料や生活物資と引き換えの信用取引が行われる。そういったときに土偶を割って契約が行われる。

もちろん、装飾品との物々交換もあるので、時間差のある取引全ておいて土偶が使われるわけではない。

そして、この集落は狩猟や採集も集団である程度専門家集団が形成されている部分もあるので、ストーンサークルを作って家族ごとの狩猟場などを示す必要はないし、家族のつながりよりもそういった職業や物資の流れの繋がりのほうが重要だというのもストーンサークルのない理由のひとつらしい。


ちなみに交易系集落は海沿い、川沿いの丘陵、日本海側に多いらしい。

それと、交易系集落でもこちら側の青森と向こうの函館周辺の集落は同じ氏族で物見の氏族という。言葉も通じるし、文化も同じ。

そして神が降りたことは俺がここに来た日の夜のうちに使者が向かったという。俺もいずれは行ってみたいと思う。

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