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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第2章 動き出す神々 Action of Gods 木の国
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157.西へ東へ

ここで神武東征お決まりのルート変更だ。

アマテラスのご加護を得るためには、陽に向かって戦をしてはならない、東から回り込み陽を背にして戦うとよいということを実践しなければいけない。


実は、このルート変更は日本書記とは少し違うようにしてある。

それが、古事記や日本書に出てくる東征以前の神であるサルタヒコを俺が名乗らねばならない理由でもあるのだ。


そう、アマテラスの調べでは、伊勢に何も無いのだ。正確には社や宮殿などは無くて、有力な首長もいない。小さな集落が点在するだけだという。

つまり天孫ニニギを案内したサルタヒコの伝承を作り忘れたからどうにかしてこいということだ。

まあアマテラス本人は、忘れたんじゃなくて遠すぎて対処できなかったし、岩戸に幽閉されたせいでできなかったと言い訳している。


まあこの時代のことを書いてある、古事記も日本書紀もそれぞれ内容が微妙に違っているので、多少前後の逸脱があっても問題ないだろう。


アメノトリフネ改めカムヤマトイワレビコは日本書紀の神武東征の通り、熊野から生駒山の背後にまわりヤマトの背後のカシワラに拠点を築く。

俺は、一軍を預かりさらに東に向かい伊勢の調査と、場合によって一部の兵士を置いて伊勢の集落民と共同で拠点を築くことにした。もちろん、本物のサルタヒコがいるか、その伝承があるか調査確認してからにしないとだめだ。


確かにサルタヒコの伝承はわかりにくい。国譲り以前に、天孫が東のアシワラナカツクニに来て支配するのに、国神のサルタヒコが案内して引き入れる。


本来ならこの東征のほうがサルタヒコの話を組み込むベストタイミングなのだが、日本書紀ではそうなっていのが不思議だ。おそらく、国譲りの大国主神や他の国神の多くが天孫の血筋だという強引な謂れを押し付けるために話の前後を大きく変えたのではないかと推測している。

古い時代にすでに国を興していたと主張するための前振りがニニギやサルタヒコの話ではないかというのが、俺と天野とのが一致した見解だ。大国主神も天孫軍が来るまではアマテラス自体を知らなかったと言っていたのもその判断に行きついた要因だ。


最初にアシワラナカツクニを訪れたニニギ、そして国譲りの天孫側交渉担当者のタケミカヅチ、そしてカムヤマトイワレビコによる神武東征の3度、そのうちあとの2回は自分たちの子孫を攻めて支配しようというなんとも奇妙な話になってしまう。


なので、伊勢の調査はやはり重要人物が欠けているか、伝承そのものが大きく改竄されている可能性も見極めるために重要なのだ。


天野と俺はこの点では一致したが、その結果について、言い争いになった。

そもそも、伝説や伝承が生まれなかったり、重要人物が欠けている時点で、異世界はともかくパラレルワールドのほうが過去の日本だということより可能性が高いと思うのだが、天野は真っ向から否定。


彼女は、ここは過去の日本だと断言している。

その根拠は示さなかったが、いずれわかることだからと、とにかく伊勢の調査までの協力を依頼された。

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