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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第2章 動き出す神々 Action of Gods 木の国
156/182

156.予定の負け戦

さて、神武東征はここからが問題だ。

その問題をうまくこなすために、キビを出発するまでに東征軍に戻らなくてはいけない。

いろいろ細かな部分で日本書紀や古事記とのつじつま合わせが必要だからだ。


そして、もっとも重要なことはアマテラスこと天野も俺も生駒山麓のヤマト(八山戸)攻略は正面戦で敗北することを知っている。


だが、そうしないと日本書紀や古事記の通りにならない。

カムヤマトイワレビコことアメノトリフネには確実に勝利し予言の通りにするためには敗北も必要だと言ってある。しかし、部下たち含め誰にも話さないようアマテラスと俺から厳命を下されている。


一般兵士といっても、もとは集落民だ。それに地元の集落民も傷つけたくない。

その後の国家運営が厳しくなるからだ。

アマテラスは何も言わずに突っ込ませる戦法を主張したが、負けるとわかっている戦なので、俺としては軽く正面戦をして、日本書紀の通り迂回コースをとらせる予定だった。万が一、総力戦で押し切ってしまっても日本書紀や古事記の通りにならない危惧もあったからだ。

しかし、その心配は杞憂に終わった。

見事な、といっては犠牲者に申し訳ないが、大変な負け戦だった。


一般兵士には軽く相手の出方を見てから、作戦を決めて本格的に攻めるから無理をしないように言っていたのにも関わらず。被害は甚大になってしまった。


かなり内陸まで順調すぎたのもよくなかった。敵本拠地を目前に功を焦り過ぎた長老たちがいたのだ。


この時代でも長老はバリバリの動ける世代だ。動きが鈍くなると引退して古老となるのは縄文の集落と同じだ。

その長老たちの多くが負傷した。

この長老たちはカムヤマトイワレビコと歳がほとんど同じだが、実は彼の息子や孫たちだ。

カムヤマトイワレビコのようにアマテラスの子供で運よく長命を得た者でも、その子供の寿命は通常とほとんど同じだ。当時としては若干長命だが、80歳ぐらいまで健康に暮らせるというレベルだ。

見た目がほとんど同じなので、子供や孫たちは兄弟ということで従軍している。

その子供や孫、日本書紀など史料では兄たちということになっているが負傷した。

死者は戦闘が混乱した割に少なく済んだ。


俺も彼らを救うために奔走したが、目前に見えるヤマトの集落に皆、功を焦り過ぎていた。接近戦でこの時代の剣は突き刺すので、お互いに致命傷、もしくはお互いに死んでしまうことが多いのだ。向こうもそれなりに損耗したと思うが、山の斜面に向かうこちら側が圧倒的に不利な状況だ。


そんな中、死傷者よりも負傷者のほうが多かったのは、まだよかったと思わなければいけないだろう。


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