表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第2章 動き出す神々 Action of Gods 木の国
149/182

149.勝手に国作り

「誰でもいいからやってちょうだい。」


俺と同じ転生者の天野照代がいうには、これから東征が必要だという。

そう神武東征のイベントがある。

だが、タカマガハラには銅剣ももちろん鉄剣もない。

九州北部には潤沢にあるが、アマテラスの息子や孫たちに押さえられて使えない。


「ねえ、ヒナ様。これからあなたが私の言うとおりに戦ってくれれば間違いなく勝てるし、2000年に連なる高貴な血として未来永劫世に残るのよ。どう?」


残念ながらヒナは倭人風の名前を付けたが生粋の縄文人だ。

未来永劫残ることより、研鑽を積んで次の循環に備えることこそ大切だと思っている。案の定首をかしげている。


「アマテラス様、そうは言いましても、武器も兵士もなければ戦うことができませんが・・・」

俺が見かねて声をかける。


「こういう時のために、味方の国を作っておいたのよ。ただ、しばらく行ってないから、知っている人が残っていてくれればいいけど。」


なんせ、岩戸暮らしが長かっただろうから、集落住民が寿命で入れ替わってしまっていたら誰も覚えていない。まぁ懐かしのコロポックルたちみたいのがいれば別だが。


アマテラスの案内で大きな集落に着く。

2重の堀、大きな建物群。なんか見たことあるような雰囲気だ。

「ここが邪馬台国吉野ケ里集落よ。」


「おい、それはまずいだろ。」

どう考えても北九州に近すぎる。確かに吉野ケ里遺跡、いや現役だから遺跡ではないが。いずれ吉野ケ里イコール邪馬台国ではないと言われていたはずだ。

勝手に史料に残る国造りなんてするなよ。


天野は顔を寄せて小声で話す。

神武東征のあと邪馬台国の卑弥呼をやる予定だという。

邪馬台国はタカマガハラも含む30以上の集落連合の国で、中心地はないそうだ。中国の漢と交渉する際は集落ごとに国という形をとって、連合国家の長を自分卑弥呼、そして卑弥呼のいるところが邪馬台国ということにするつもりだという。だから、ここも一つの国としての名前がちゃんとあるのだという。

それでも、へまはするなよ。


集落を歩いていいると、古老が突然天野の前で平伏した。

「卑弥呼様ー!!ようやくお帰りになられたのですね。」


「よかったー。覚えていてくれた人がいて。皆は元気。米は良く取れている?」


「はい、卑弥呼様が言うとおりに米作りをいたしましたところ、収量も安定いしました。みなで祝いますので、国長のところへ参りましょう。」


その古老に連れられて国長のところへ行く。

ここには数は少ないが銅剣も鉄剣も入ってきているようだ。

古老が天野を卑弥呼様とよんで国長に紹介するが、国長も上座を降りて平伏した。


「知っていましたか?」

俺は唖然としているアメノトリネに小声で聞いてみた。

「いえ、以前からふらっと1か月くらいいなくなるときはありましたが、まさか集落連合を手懐けていたとは知りませんでした。卑弥呼という二つ名も知りませんでした。」


ここからは、アマテラスと呼んでいいのか、卑弥呼と呼んだらいいのか?

俺と違ってまったく自重しないでやってきたようだ。


「オオキミ様、私が何も自重しないでやってきたと思ったでしょ。でもね、最初は私も自重したんだけど、ここはね大陸からの影響が強いの。ぼやぼやしていると飲み込まれちゃうのよ。」


稲作に銅に鉄、場合によっては大陸側から先般の国譲りのような要求が来る恐れだってある地域だ。まして、見た目と違って2000年以上母をやってきたわけだし、まぁ自分の子供に幽閉されていたんだけど、強い精神力がなければアマテラスも卑弥呼もその呼称に耐えられるものではないと思う。


「集落連合の長たちを集めて頂戴。久々に戦争よ。」


ああ、北に帰りたくなってきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ