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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第2章 動き出す神々 Action of Gods 木の国
143/182

143.会議1日目

俺は何色を着るか直前まで迷った。昨日着た萌黄色、そして紫根で染めた紫の狩衣を用意してある。はじめから黒も白も着る気はなかった。

あえて部外者を装うために紫根の紫で染めた狩衣を着ることにした。


会場の高床式の広間は黒と白でまるで碁石をちりばめたようになっている。

思い思いにグループを作って話し込んで騒がしくなっている。


俺もここに来る途中知り合った国主、この場合神々といったほうがいいだろうか。彼らの意見を聞く。小さなグループはやがて大きなグループとなり、やがて黒の多いグループと白の多いグループに分かれていく。

昼頃には黒いグループにも若干白い衣の者が混じっているが、白いほうに黒い衣が混じっている割合のほうが多くなった。

今日はこのままバラバラに議論を深めるのだそうだ。


会議の終わり際に呼び止められた。

「アラエミシの国より来たオオキミ殿とお見受けしますが」

白い衣のひときわ大柄の男だった。


「はい、此度の国譲りの部外者ではありますが、双方より請われて参りました。」


「我は天孫のタケミカヅチと申す。貴殿の国も我ら天孫に任せてはどうかな。鉄も銅も今後楽に手に入ろう。」


「我らは狩猟・採集で鍛えている故に、剣の類よりも槍が得意でありましてな、突く分に関しては青銅よりは石器のほうが丈夫であるし、鉄製は魅力はあるものの、鉄剣ほど量はいりませんからな。交易で割合を割けるほど益が出るとは思えんのですよ。」


「ほう、剣より槍が強いと申すか。手合わせをお願いしたいものだ。」

そんなことは言ってないが、はじめから挑発する気だったのだろう。


「兄上、ここはぜひ私に!!」

隣からひ孫のヒナが口をはさんできた。

ひい爺さんではなくて見た目の歳が同じなので兄と呼ばせている。


「では、弟がお相手いたそう。」


「うむ、しかし、何かとそれだけでは面白みに欠けるな。何か勝負に際して賭けようではないか。」

最初からそれが目的だったのだろう。


「果たしてタケミカヅチ様に見合うような物が当方にあるか?なにぶんアラエミシだけにお渡しできるようなものは獣の皮ぐらいしかありませぬが。」


「では、当方は鉄剣10振り、銅剣300振りを賭けるゆえ、そなたらは国を賭けてまいれ。」

なんとも強引な。鉄剣、銅剣と国譲りか。確かに昨日話した大国主神からの情報で、国譲りというのは看板の架け替え程度で、実質的に集落の支配権を渡すことではない。だからさほど価値観的に間違った提案ではないのだが。

しかし、俺も交易系で2000年やってきた長の1人だ。プライドにかけてこの賭けに勝たなければならない。


「先ほど、申しました通り、当方は剣よりも槍や弓の価値が高いのと建築に使いたいので、そちらは製鉄の知識を、こちらは国を賭けましょう。」


「おおそうか。皆の者、アラエミシのオオキミ殿が国を賭けて我らと勝負することとなった。アシワラナカツクニを手に入れる前に、新たに国を手に入れて景気をつけようではないか。」

もう勝負に勝ったつもりでいる。


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