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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 北のモシリ
106/182

106.みんなで旅

今年の春分、夏至の祭祀はかなり本格的にやった。

夏至の祭祀は大きな土偶も用意した。

立派な土偶を割るのには勇気が要った。完全な形で出土すれば国宝や重要文化財になるかも入れないし、破片が飛んでくるのがこわかったというのもある。

でも、おそるおそる壊したのは受けが良かったようだ。あまり平静に壊してしまうと神である俺がすでに悪い神になってしまって、土偶を壊すのに全く躊躇しない、動じないと思われるからだ。


壊した後は、動揺し、悲しみ、後悔に苛まれている様を演じなければいけない。演じるというより、この時代の人なら本気でそうしないと神とはいえ人々の信用を失ってしまう。


夏至が終わると本格的な交易シーズンだ。

今年もピリカノ・ウイマムまで行く。

今回は巫女の仕事はイアンパヌ(賢者)にまかせて巫女3人、カンチュマリ、レブン・ノンノ、アシリクルとで出かけた。

2週間以内に帰る予定の旅で、ピリカノ・ウイマムの近くに温泉があるという話を聞き交易ついでに4人でそこに行こうということになった。


ピリカノ・ウィマム(長万部近辺)を過ぎて、山のほうに入る。

どうやら、あの温泉だな。

知っている温泉だ。

知っているし、実際入ったこともあるし、いい泉質で景色もいいし・・・。

だが、いろいろ商売が気になって。

まぁ、この時代なら、そんな商売人がいるわけでもないだろうし、行ってみよう。


うん、やっぱりそうだ。

大きな橙色の巨岩の上からお湯が絶え間なく流れ出ている。

湯舟は少し緑っぽい茶色に濁ったお湯でぬるめだが、ものすごく温まる。

泉質、湯舟などは俺が知る温泉(そんなに多くはないが)の五本の指に入る名湯だ。


すると温泉に入りに来たのにしては、少し違う石の鍬のようなものを背負った一団がやってきた。

湯花が長い年月で堆積してできた大岩を石の鍬で砕きはじめた。

さほど多くない量を採ると、その人たちも温泉に入ってきた。


「その岩は何に使うんですか?」


「砕いて不老不死の薬湯として売るんだ。」


あぁやっぱりこの時代からいたんだ。

確かにカルシウム他ミネラルは豊富だが・・・。

でも、せっかくの秘湯、ここまで来て入るのに価値がある。

まぁこの時代なら、旅が一般的じゃないからいいか。


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