表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
10/182

10.甘味の衝撃

昼はわらび餅でした。しかもわずかだが甘い。


俺が朝ごはんの甘みのないクルミモチ(トチモチ)の衝撃で、ないなら甘味を作ろうと決心したのだったが。あるのかよ。


俺は甘味としての黄精つまりアマドコロを使い、ワラビ、カタクリ、ウバユリなどの澱粉でモチを作ることをやろうとしたが、すでにあったとは・・・。見事期待を裏切られました。

でも、このわらび餅かなり特別なものだろうと思う。まず、ワラビ粉を採取するためには大量のワラビの根が必要になる。現代で売られていたわらび餅の大半はワラビ粉自体使われていなかったり、使われていて数%、ワラビ粉100%というのは俺も食べたことは1度くらいで、かなりの高級品。

まぁ森を焼いたりすれば、大量のワラビが増えるのは確かだが、それでも、採れる量は限られるはずだ。日々生産に追われる縄文人、しかも価値創造による利益分配がないだろう縄文時代、暮らしの中で余計なワラビ粉を精製する手間は大変なものだと思う。

同じく黄精アマドコロもそうだ。甘味として精製するくらいなら若芽や根をそのまま山菜として食べたほうがいいだろう。やはりこれも特別なものだと思う。


塩漬け、乾物、生が中心で加工食品はないだろう、そこで俺の出番だと思っていた。そもそも精製が必要な食材は酒以外は無いと思っていたのだが。


俺「カンチュマリ、これはかなり特別な食べ物ではないですか?」


カンチュマリ「はい、わらび餅は祭りの時に塔の巫女だけが食べられます。それと、病気の者がでたときにアマドコロを用います。」


あぁそうだったアマドコロは昔民間薬としても使われていたのを思い出した。

そうか薬としてなら、精製、加工するだけの価値がある。


俺「他に手間のかかる食材はどんなものが?」


カンチュマリは考え込んでいる。


カンチュマリ「貝以外はみな手間がかかりますよ。」


詳しく聞くと貝は一部の深いところにいるアワビやホタテ以外は保存がきかないので、採ってすぐに蒸したり焼いたり煮たりして食べるのだという。アワビやホタテは貝から外すと塩水でよく洗い天日で干して乾物にするのだそうだ。

魚は種類によって塩漬けにして保存して、その漬け汁も調味料として使うのだそうだ。今回はまだ出されていないが、魚醤があるということらしい。

山菜も同じく干したり塩漬けにしたり、木の実はクルミも意外に面倒だし、栃やドングリなどはさらに面倒。あくを抜かないと苦くて食べられない。あく抜きをしてから乾燥し粉末状にして保存しておく。

獣の肉類も塩漬けにしてから煙にさらして保存するのだという。燻製かハムのようなものだろう。

川魚も焼いてから乾燥させ保存。最近は秋に川にやってくる大型の魚がいるそうで、それも同じように塩漬けにしたのち煙にさらして保存するらしい。スモークサーモンだろうか?これらはまだ食べていない食材だ。


聞くにつれ、俺の知識が活かせそうにない気がしてくる。


ちなみに、今回祭りと俺の歓迎で出てこない食材が多いが、こういった保存のための加工食品は食材の減少する冬場の食べ物。

春から今の時期くらいまでが採集と塩漬け加工。

夏至を過ぎたあたりから一番暑い季節は乾物加工。

秋に再び採集で、秋の場合は天気を見計らって加工も一気に進めて冬に備えるのだという。

だから、この時期はとれたての食材。つまり生か焼くか煮るか蒸すかの料理が主体なのだそうだ。それに、塩漬け製品はこの時期下手な人間が触ると腐ってしまい台無しになるのだという。専門の者が漬かり具合を毎日チェックしているのだという。


ちなみに、昔は海沿いのこの集落は雪はあまり降らなかったという。今では30センチぐらいは積もるという。ちなみに30センチぐらいといったのは、人の腕の長さが彼らの長さの1単位になっていることがわかったからだ。まぁ縄文尺といわれるものだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ