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くすんだ紺  作者: 正
5/6


俺は、新しい母親に対して違和感を感じていた。


時々ぎゅっと口を結び、左手で右手を抑えるしぐさを見せる。


「どうしたの。母さん。」

「…あぁ、何もないわ。気にしないで」

いつもと違うトーンで壁を作った。

彼女は危ない気がした。


俺は今日、学校を終えると弟に

「悪い、今日蒼村さんとこ行くんだった」

と、言って先に帰った。


弟は首をかしげていたが、わかったと言ってゆっくり歩いて行った

蒼村さんの家は俺の家の真逆の方向だ。


走って向かった。



「彼女が怪しい?」

「何か、知りませんか。」

「知らないなぁ。君らの件でしか話したことないし。」

「…嘘ですよね、それ。」

人は嘘をつくとき声が変わる。


「……便利な魔法だよな。分かったよ」

俺は、きっと気付いていたはずだ。



「彼女はお前らの母親の姉だよ。」





母は愛され方と愛し方を知らない。


「私、姉がいるの。」

「…うん?」相槌を打つ


「お姉ちゃん、私の事を殴るのよ。同じ場所に何回も」

母は窓を見ていた

「だから、家出してやったわ。」

まるで独り言のように。

「でも、つかまって。もっと殴られた。暴言も」

ちいさく、わらった。


「だから私もそうするの。」


「自分がする側だって示すの」


「だから、悪くないよね?」


わがままな幼女のような話し方。

狂ってる。


「殴ると、罪悪感と開放感でぐちゃぐちゃになるの。それは私への罰」


これが、母の最初で最後の本心だった。





俺は、家へ走り出した。


弟を守らなきゃいけない。


実は脆い彼の心を。

じっと耐えて出来た、あの細い身体を。


俺は守らなきゃいけない。


遅かった時には、同じ目に遭ってもいい



だから何をしたって、それは正しい。


俺も、狂ってる。ああ。分かってる。



もし、彼が死にそうならば俺が…


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