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くすんだ紺  作者: 正
4/6

藍と愛

僕は、昔の母親が大嫌いだった。

兄に面倒事をさせて、僕に暴力をふるった。


兄は勉強をする暇がなくなって、

どんどん学力が落ちていた。


僕は勉強をすることが出来たが、

それ以外にやらせて貰えることはなかった。



ここは、魔法の国



もう一度説明すると、

僕は描いたものを本物に出来る能力を持つ。


兄は音を操る。


僕の大嫌いな母親は、

異性を魅了する能力だった。


僕は女が嫌いだ。

声が、頭に響く。

母親の、あの匂いが。



「うえ…っ……」

吐き気を誘う。




「どうなった?ラブレター。」

嬉しそうにニヤニヤしながら兄が聞いてきた。

「怖いし行ってない。」

「もったいないなーー知り合い?」

「いや、話したことない人。」

ゆっくり歩きながら登校していると、

クラスメイトの女子が「セイ」と声をかけてきた。

「昨日ラブレター見た!?私の友達なんだけどさ。来てくれたっていいじゃない!」

ハイテンションの彼女の声が響く。

僕は困ってしまって目を逸らした。

「コイツ女子苦手なんだよ。俺の方がオススメだぜ」

兄がサポートをしてくれた。物凄く助かる。

「えー先輩〜?セイの方がイケメンだもーん」

「えっ、それは傷つく」

「ふふ、私は先輩の方が好みですけどね。

なんだ、そういうことか。ごめんね、伝えとく!」

彼女は走って階段を登って行った。


「…ありがと兄ちゃん。」

「気にすんな。狙われてるぞ、気を付けろよ」

笑いながら兄は教室へ入っていった。

僕はもう1つ上の階なので1人で向かう。


その日もいつも通り平凡な日で、

僕は今日も兄と一緒に帰った。




「おかえり!二人とも。」

「うん、ただいま」

「…」


聞きなれない声が鬱陶しく感じた。

今週から居る母役だ。


晩御飯の食事を運ぶ母役に

僕は「いらない」とだけ伝え、部屋に行く。





母親なんて、いらない。


目隠しをされた時もある。

閉じ込められたこともある。


何度も絆創膏を貼り替え、

夏は薄い長袖を来たり、学校をサボったりもした。


先生は察しているのか、僕が保健室にいても何も言わない。

ただ、無言で僕の鞄に少しだけ絆創膏などを入れた。


若い女の先生は、それしかできないと思っているのだろうか。

でも僕には十分だ。


もう、人を信用しない。

兄だけいれば。僕はなんだって出来る。


僕は、スケッチブックにオムライスを描いた。


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