青空
僕は毎日兄と一緒に学校へ向かう。
「仲良いね」って同級生に言われるのは少し恥ずかしいけれど、
兄はそれを聞くと嬉しそうに微笑んだ。
「おはよう」
今日もクラスに入ると、
最近話しかけてくれるクラスメイトが挨拶をしてくれた。
「おはよう。」
僕もそれに笑顔で答え、席に向かった。
朝のSTまでには10分ほど時間があったので
僕はスケッチブックを取り出して、絵を描き始める。
僕は、描いたものを本物にする魔法が使える。
本物というか、僕の想像する性質を立体的にしてくれる。
僕はシャーペンを描いた。
ノックすると芯が出る。
芯は鉛筆のように書くことが出来る。
この性質を、都合のいいように帰ることも出来る。
芯は折れない。
すると、芯が折れない最強のシャーペンが出来る。
僕が出来上がったシャーペンで試し書きをしていると、
隣の席の女子がこちらをガン見していたことに気づく
「…えっと」
「あああ!ごめん!すごいなーと思って」
えへへと笑う彼女。
「そんなことないよ。」
「いやいやあるって!私の魔法とは違うなあ」
彼女は確か、物のサイズを変える魔法だ。
「私、せいぜい着れなくなった服を
大きくできることしか出来ないから」
「はは、いいじゃん。
あ、そうだ。この消しゴム大きくできたりする?」
僕は新品の消しゴムを彼女に渡す。
「できるよ。どれくらい?」
「少し大きくしてくれれば充分」
「わかった」
彼女は目を閉じる。すると、消しゴムが青色の光で包まれた。
「ふぅ。できたよ。」
「ありがとう。はい、これお礼」
僕はさっきのシャーペンと同じ条件のシャーペンを
デザインを変えて造った。
青色のシャーペン。
「わ!ありがとう!!…でもなんで青?」
「青魔法でしょ?だから。」
「なるほどーありがとう!」
彼女は嬉しそうに筆箱にしまった。よかった。
「私いつも謎なんだけどなんで青なんだろう」
電子機器の範囲設定が青色だから?と彼女は笑った。
「僕と似てるね」
「え?青じゃないの?」
「まぁそうなんだけど。」
と、僕が笑うと彼女も笑った。
今日は笑ってばかりだ。
いつも通りの授業を終え、僕は正門でスケッチブックをみていた。
兄を待っているのだ。
兄は音楽で攻撃する魔法を使う。
しかし兄さんが魔法を使っているところを見たことがない。
兄さんは何色なのだろうか。




