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僕と兄
僕は兄とずっと一緒にいた。
離れたいとも思わなかったし、
離れる理由がそもそもなかった。
足りない僕を兄が支え、
天然な兄を僕が支える。
そんな僕らに、親はいなかった。
しかし、ある日。
僕らを世話してくれる女性が見つかったらしい。
「私結婚とかしたことないし…
子育てとか未経験だけどどうかよろしくね」
そう、女はふわっと笑った。
いわゆる美人というやつだ。
僕は人の顔なんてお飾りでしかないと思っているので
美人かどうか全然分からなかったけれど。
少なくとも兄は綺麗な人だと褒めていた。
お世辞だろうか。
そして、僕らは学校に通うことになった。
いつだって、僕らは2人で1つなんだ。