表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

238/243

総員、突入!!!!!

 準備は整っている。


 後は突入の合図を待つばかりだ。


 全神経を耳に集中させる。


 ぱさっ。


 手袋が落ちた音。


 カウントダウン開始。


 3、2、1……。



『総員、突入!!』



 突然、部屋中が真っ暗になった。


 停電だ。

 

 それから、ガラスや他の何かが割れる大きな音が響く。


 ドカドカと複数の大きな足音。そして怒声。


 いくつか空気を切り裂くような感覚がすぐ傍をかすめた。


 うめき声が聞こえた。恐らく進一だろう。

 

 微かに血の匂いがする。

 

 そして何か、焼け焦げたかのような臭いも。


 何が起きたのかわからないが、気がついたら周の両腕も足も自由になっていた。


 周は急いで起き上がり、暗がりの中、とにかく外へ……ああ、でも猫がまだ……あれこれ考えていた。


「周君!?」

 和泉の声だ。


「和泉さん!!」

 周は声の限りに叫んでみた。


 ふわり、と身体が浮き上がるような感覚。



 ああ、いつものだ……。


 安心したら一気に力が抜けた。


 だけど、まだ安心できない。いろいろと大きな音が聞こえる。

 物が壊れて砕ける音も。


 誰がどう言っていて、何がどうなっているのかさっぱりわからない。


 でも、そんなことはいい。


 周はきつく目を閉じた。



「来るぞ!!」

 ガチャガチャ、玄関のドアが開こうとしている。


 駿河は銃を構えた。


 鼓動が早まる。


「待て! こういう時は……これだ!!」


 そう言って日下部が取り出したのは懐中電灯。

 彼は玄関に向かって灯りを照らす。


 扉が開く。


 西島進一が飛び出してきた。


「こっちを見ろ!!」

 日下部の声に反応した進一だが、目にライトを浴びせられると、眩しそうに両手で目元を覆い、そのまま廊下に膝をついてしまった。


 電力会社に協力を要請し、意図的に停電を起こすと聞いていた。その時が突入のタイミングだと、も。


 暗い所から急に明るい所へ出ると、眩しさに目が追いつかない。

【暗調応】というやつである。


「葵!! そっち行ったぞ?!」

 友永の声に呼応し、駿河は手錠を取り出す。


 西島進一の腕にその鋼の輪は、綺麗にはまってくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ