休息
壮絶な五日間が終わった。格郎は大地に伏したまま動けない。
「…ダメだ…こんなとこで…」
ジリジリと指先を動かすが、それだけでも大変だった。だが、こんなところで何時迄も寝てはいられないのも事実だった。いつ魔物に襲われるかわからない。
「くそ…」
その時、ワインノードの遺体が目に入った。
「…そういや…コイツは…」
格郎はようやく、一息つくことができた。ワインノードの遺体を物色したところ、銀のペンダントを見つけた。魔物避けのルーンが彫ってあるペンダントは、見た所、相当高度な物だということが格郎にもわかった。ワインノードがこの魔物の巣で魔物に襲われなかったのは、そのためだろう。
「…ふぅ」
格郎は疲れを全て出し切るように、息を吐いた。ペンダントのついでにワインノードが所持していた薬品やら携帯食料やらで消耗した体力も回復させたが、やはりしっかりとした休息を取る必要があった。緊張を解いたことで、格郎の疲労感はより強くなっていた。体を動かすのも億劫だった。
「…取るに足らない…か」
格郎はワインノードの最期の言葉を思い出す。ワインノードは強かった。奴が隙を見せなければ…急所を打ち抜けなければ…殺されていただろう。そのワインノードが取るに足らない…?
「…イカれてやがる」
格郎は先のことを考えるだけで気が滅入った。だが、次第に頭が回らなくなっていった。疲れきった体は、睡眠を求めている。
「…ふぅ」
格郎は再び息を吐いた。そしてそのまま、深い眠りについた。