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春の夜
少し俯き 黒い影と白い光
枠に組み込まれて オノマトペ
汚れのない 瞳の先 窓の外
こっちを向いて 二秒間の知らせ
途中にある点に気がつき
風の色が桃色に見えた
確かに育った実りがある
これから向かう 街の角
点をしっかり摘んだならば
頭に浮かぶ 夜の背 サンゴ礁
一度や二度の表舞台を
忘れない頃にもう一度
心を強く ライトに照らされ
月を頼りに歩んだ夜は
傷になった胸の奥 春の夜
黄色と黒の柱に身を預けて
立ち入り禁止をまたいでゆく
後少しの辛抱だ
やれることはやってきた
示したものは必ずあり
底辺を彷徨い続けてきた
これから向かう 頭の上
見たこともない 暮らしの中へ