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響く
終わりの音が 日々 聴こえ始める
穏やかな気候と共に
心までも優しくなる
死ぬほど嫌いな場所だった
気がつけば 残る痕跡
影に写る 幼き模様
銀色の囲いに潰されそうで
見開く目玉 不安定な情緒 腹ぼて
何もかもを変えてしまいそうだ
舌の先が痺れている
甘い蜜だけでは
操ることはできやしない
押し付けるだけの自己満足
流れに煽られ 気がつけば
不釣り合いな悲しみが寄り添うだけ
形さえも 呼んだ声も知らないまま
大きくなってゆく
白目をむいた抜け殻
コインを握りつぶす日々に
苦痛さえも慣れてしまいそうだ
響く音がはじめに聞こえて
その先で鳴る 辿り着く場所
霧に隠れ見えにくい
そこにある そこで響く
日々、聴こえる その後で