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ラジカセ
日常 現実 生活
静かにドアを開ける
何かのせいにする
ピエロが踊る 地下の地下
後戻りできなくなるところで
再び生まれた根元の苛立ち
腕を上げて笑っているけど
観衆の前で震えている
忘れたくない時代がある
なのに、日々大人になる
感情も表情も分からなくなる
そして、いつか消えてしまう
大切にした嗅覚を
いつまでも身にまとい
いつか見た少年。
頷きながら酒を飲めるように
電信柱の影から出てきた
異空間への入り口
冠をつけて 泣き崩れた
まばらなピンクの模様が見えて
時をかける 渡り鳥が鳴く
進むべき道の途中
余計なプライドが邪魔ばかりする
分かっているはずなのに
どうもうまく立ち回れない
四角いパネルに映る炎
澄みきる部屋で電気もつけず
冷たい色に囲まれた
青ざめたステレオから
聴こえてくる悲鳴と歓喜
寒気のするつまらない世界へ
引きずりこまれた
異臭を肩に浴びながら
ありきたりの言葉で責められる
あっという間 その間に
初めてできた手のマメと
退屈ばかりの鏡越し
言えないぶんのどんでん返し