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初動衝動  作者: 絶望大福
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聞こえないさよなら

さよならの声も聞き取れなくて

雨に濡れたぬるい夏の夜

お気に入りのポスターは

相も変わらず飾られたまま

黒と白の丸いディスクを

死んだ目をして 握りしめた

こんなに放つものがあるのに

気づけなくて さよならの声も


ガソリンスタンドを曲がった先

入り組む裏道 時を刻む

林の中に溶け込んだ

春が終わりを告げる頃

おぼろげな月は雲に隠れて

二人の目線を合わせさせない

潰れた店の裏口で待ち合わせた

空き缶が転がる 柔らかい土の上


風まかせの髪型と勘違いの行進曲

手に取るように分かること

この声は決して 愛を叫ばない

初めて触れた 梅の木の下

海岸沿いの駐車場

異国の匂いのするフェンスを

背中合わせで 見ないふり


よくもわからぬ言い訳のこと

カレンダーと肩を組んだ

今まで騙した作り笑顔と

決定打が決まる 冬の始まり

さよならに気づかず 雪が舞いそうだ


汚れていくシールの足跡

形に憧れた ただそれだけ

本当はいつでもよかったんだ

深く深く傷をつけたら

その分闇を抱えていく

さよならなんて言うもんか

そんな声も聞き取れなくて

言い訳を超えて あのフェンスまでも

飛び越えた先にさえ

さよならは聞こえない

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