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夜道
新しい破片が新しい季節と混ざり合う
幾多の無意味を超えた後で
遊覧船から飛び降りた
骸骨船が横切れば
錆びた碇にしがみつく
路地を入った居酒屋で
不味い酒をたらふくのんで
ほら吹き呼ばわりの夢を語る
後には引けない覚悟があった
もう少しだけ近くに居れたら
もう少しだけ触れられていたら
この瞬間だけ 何処へも行かずに
ずっと心に一瞬の灯火
マグマの中に手を突っ込んで
氷も溶かす掌で握る
軽い理由で手を取り合えば
軽い理由で言い訳を探す
壊れ始めて時は流れて
気づかぬ内に通りは暗く