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街灯
何も残るはずではなかったのに
大量に欲望の原液が
足元へ流れ出される
寒風に晒された肌を撫でる
その掌には爪の後
輪っかが並ぶ塀を横切る
氷の詰まった頭を揺らせば
悲しみを吐き出す程に
電流を流す水色の難破船
見飽きた夜明けの腑抜けた笑いに
心が秋の風のようで
枯葉一枚ひらりと舞えば
小心者の快進撃だ
駅に並ぶ見知らぬ顔に
紛れこむんだ
好きなバンドの曲を聴いて
叩き込んだものさえ吐き出す
いらないものが多すぎた
辺りは何処か寂しそうで
途切れ途切れの街灯が並ぶ
わがまま放題の野良猫の溜まり場
象徴するようなゴミの散乱
何処か心と似ているようだ
既に迎える限界を
覚悟へ変える準備が整う
内ポケットに隠したもの
にやりと笑う
夜明けを迎える