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青春と月
捨てたはずの青春を
優しく強く激しく撫でられた
別れ際の一言を信じて
少し照れながら電話するよ
幾多の月を見過ごして
嘘をついて暮らしている
高揚感を飲み干して
わくわくしながらあの場所へ
しばらくぶりの道を眺めて
爆発音の見慣れた空箱
ここに置いてきた初期衝動が
今ここにある気がするんだ
数分間の記憶を頼りに
二人で奏でるあの日の青春
嬉しくもあり、恥ずかしくもあり
溢れ出るものはなんて呼ぼうか
遊びの中の延長線上
片手間で飲んだミルクティー
少年のように笑い転げた
微かな気遣いに身を委ねるさ
心地よい疲労感に
ビートルズとラーメンが身に沁みる
日付が変わる数分前
次は何を理由に過ごそうか
照れた微笑みに
また何か理由をつける
激流に流されぬように
また過ごせる気がした
名曲と共に
懐かしい風の音
青春に重なる月
中途半端な別れ際がちょうど良い
見える丘に二人が居た