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涙
夕暮れ時の耳の中に飛び込む
揺れない眠気とぬるめの風
鉄骨の棚に並べられた子供心
ひとつひとつ、まぶたの裏側
廃刊された雑誌が積まれる
ビールを片手に観たものは
埃をかぶって錆び付いて
忘れた訳ではないはずなのに
忘れた音色に心がざわつく
お気に入りだったTシャツは
「またね」の後の青い空
あんなに身近にあったものは
古くなって錆び付いて
ここには無くて忘れてしまって
ドキドキの連続の日々
降りた駅を振り返る
夏から秋へ移り変わる
あの頃と同じように
漫画も車も浜辺もビルも
真っ新だった心に突き刺す
夕暮れ時の耳の中に飛び込む
不器用なビートは永遠に
漂い続ける永遠に…涙