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ラブソング
無言のままで 電話越しの船着き場
駐車場で抱き合った
海岸沿い 波の音
無理した 作り笑い
転げまわって 目を合わせる
夕日が沈む 少し前
本能のままに 飽きがくるまで 探り合う
反対車線の電車の中
ハッピーソングが流れ出す
解き放たれた 乗り込む 始発
桃色の花 散ってゆく 心覚え
星空の真下で 伝えた想い
言い訳さえも 流れゆく
心もとなく 濁点は足りず
言いたいことは 言えたはずなのに
今もふいに 思い出すよ
二人で願った 風の声を
曇った空も 頭も 晴れず
ひたすら歩いた 森の中 歩幅合わせ
誰も知らない うたをうたうよ
カーステレオからは 流行りのラブソング
少女は言った
大人になるの?と
少女は言った
子どものままで
少しも変わらず 生きてゆくこと
それすらできない 日々があるんだ
悩める事柄 手を合わせて
これからの ハッピーソングをうたうために
二人のラブソングをうたうために