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ぬるい風
ぬるい風が暮らしを翻弄する
ぬるい珈琲、すすった午後
御構い無しに強そうな音で
蒸気機関車が突き進む
足の震えるつよがりは
風切る自転車のあの頃のまま
水色深く流れる空へ
鉄塔高く、バランス取りながら
行方を知らぬエレベーター
ペシャンコにされたプレスの後で
初めて見かけた印象は
後を追うごと色が変わる
散弾銃は怒りに変えて
飛び散る破片はペテン師の言葉
投げ出されている両足は
準備不足の戦風の中
ぬるい温度が冷めた頃
寒風摩擦のエンドロールへ
それまで少し目を閉じる
ぬるい風は収まらない