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重さ
蓄積された重さを感じる
横たわった僅かな記憶
曇天深く電波は走らず
ケモノが側を横切る静寂
ぶった切った森の中
中途半端な時間を握る
ずるい様は影に隠す
切り取られた感情は
水面下で笑った後に
まぶたの裏で溢れる花びら
四角い余韻に遮られる
乾いた壁をなぞってみても
潤う術は見つからない
ギリギリ光る月は眠たげ
慢性的な音が聞こえた
形が決まらず崩す落陽
バトンタッチをするようで
言葉をなくした街はため息
急いで向かった満員電車は
またもや重さを蓄積させる