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泥のように眠ったあとで
枕を持ち上げ風は止まる
白の間を光が過ぎてく
散乱している机の上には
本とビデオとCDたち
静かに流れる80年代
じんわりかいた汗の後
はん点描く右の腕
ぼんやり頭は息を漏らして
探るようにネジを動かす
虫の音は鼓膜の先
開けっ放しの扉の辺り
いつかの埃が揺れている
蔑むようにつついては
困った顔を望んでいる
分かったようなフリをして
もはや味方は誰もいない
一番最初浮かんだこと
雨戸の間に雛を見つけて
くり抜く記憶は花火と消えた
マーカーラインを引いた言葉は
それ程僕を震わせない
ギリギリ回したコインを見つめる
泥のように眠った後で