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忘れてく
器に入った液体が
何色だったか思い出せず
生え際が見える苔の石
忘れてく忘れてく
昨日の顔と今日の出口
飲みかけのコップ
混ざった絵の具が注がれる
しゃくれた言い訳、西の空へ
廻った気分は片付ける
傍観者は黙り続けて
寡黙に眺めるその先は
光がそよぐ鉄骨の月
心を蹴散らすうるさい鳥
簡易ベッドに縛られた
点と点を繋げる時は
既にここを離れている
すり減る底は黄色に滲んで
その場限りの言葉を探す
暗く閉じた視界の先は
色とりどりの時代が映る
そんな事もあったねと
3歩も歩けば忘れてく
進んだ分だけ忘れてく
忘れてく忘れてく
結局何も思い出せず