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寄り道
何度も通った石段の上
木漏れ日が気温を食い散らす
未だあるもの
既にないもの
カーブミラーに映った陽炎
半端な心を洗い流す
バイクが通る音が聞こえる
傘置き場には忘れ物
旗はなびいてお知らせをする
レンガの中は夏の色
急に鳴った電話は閉じて
よくも分からぬ音楽と
鳥のさえずり混ざり合う
疲れたはずの帰り道
何度も通った石段の上
地面を這ってるスズメのようだ
解決されないひっかかりが
どうも全てを立ち止まらせる
短い罪と長い罰
ぬるい風に怯えながら
軽い嘘とまぬけな寄り道