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忘れてしまった情景
大きく実る木の実のように
膨れ上がったど真ん中
何度も何度も巡らせて
何もない夜、上の空
時間は過ぎてゆくけれど
優しい声は隣にいる
情けなさが敵にまわる
自信を積んで色づくまでは
なんにもないと決めつける
信号機が変わってゆく
急には進めず憤る
一体どこで何をして
頭の中には何がある
子どものようなわくわくと
踏み潰した尖った剣
どうせ夜に目をつむれば
少し冷える朝日と出会う
絶対的な領域に
とまどいながらも手を伸ばす
忘れてしまった情景に
再び出会う
花火が咲く