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澄んだ寝心地
澄んだ寝心地の中にいる
歯車は錆びずに廻さない
お気に入りのスピーカーでは
ルーリードが歌っている
キラキラと太陽は
呑気に笑って一番高く
窓を控えめに風が叩く
丸椅子座った生きた化石
余裕の時間を刻んでいる
邪魔する魔物に身を委ねて
無神経に転がる枕
花を咲かせた木蓮も
澄んだ寝心地で踊っている
水を一杯飲んだところで
心を掴んだ名曲が
機嫌良く身体と部屋ごと包み込む
あっという間に日は暮れて
死にたくなるような夜がくる
魔性のエンディングは付けずとも
まぶたを閉じずにいようとも
撃ち抜かれた朝はくる
澄んだ寝心地を思い出す
首はそろそろ痛んでくる
ため息無限に漏れている
無理矢理ブリキを動かすけれど
澄んだ寝心地を思い出す