26/243
喫煙席
隠れず出てくる
くだらない欲
中途半端な朝
タバコの煙は同じ方向
中途半端な珈琲
気持ちは柔らかく和らぐ
読みかけの小説
時計を気にする
出発の手前
息継ぎを忘れた駅の前
取り繕った世間に片足
額の汗は暑いからではない
くだらない欲
突き動かす
くだらない欲
夢を見た
バッドエンドにうなされる
雌伏の時間は未だ終わらず
一寸の眠気が命取り
いつもの電柱は
相も変わらず傾き続ける
隣の目なんざ気にするものか
目が合う通路越し
履きつぶした茶色のスニーカー
色が褪せた緑のポロシャツ
中途半端な朝
中途半端な珈琲
くだらない欲
満たされている
知らない街
海の向こう