179/243
忘れていくんだな
絶対零度の名もなきプライドを
守るだけの凍える日々
さらけ出すには力不足で
馬鹿にされる 日めくりカレンダー
用水路の様子を 丸い窓から
叙情のような木洩れとアジサイ
色眼鏡が似合ってきたな
口だけで 怒号のピアニカ
怠け模様が染み付いて
夜更かしまでも 常識が勝る
やっと動いたエンジンも
まわりはとっくに忘れていて
黙り続けた言霊の飾り気
期限は過ぎて 竹が鳴る
ほうしばかりをばら撒いて
切れ端にある 悲しいドキドキ
ワープして行った先
サワガニと錆び付く缶の鍾乳洞
忘れていくんだな 感性も瞬きも
忘れていくんだな 大切にしたもの
輝く前の石ころのまま
今だに信じる 鉄塔を行き過ぎた蛇口
流れるものを 疑いもせず
手のひら返す 知らないフリ
カッコつけたことだけで
立ち振る舞う 白い目を抱えて
黙ったままで どデカいこと
言わなくてもいいこと
君が忘れてく あの色えんぴつ
群青色を覚えたばかりの 産毛の参列
そんなに急いでどこへいく