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空の色は
剃らずに 伸びっぱなし
パソコンはつけっぱなしで
15年前の邦画を流し見る
空の色を受け止められず
カーテンを閉めっぱなし
ぼんやりと流れるただの生活
綺麗に並んだ 手をつけない雑誌たち
何か叫んでるようで
何もなかったかのように
寂しく聴こえるピアノの音
時代は止まったままで
制限オーバーの曲がり角
カビの生えた文庫本を
愛おしく撫でている
マジックが滲んだ机に肘をつく
ジャージ姿で 夕方まで
ぬるめの珈琲をすすったり
時間潰しのたばこをくわえて
黙った横顔 小刻みの足
しっとりとしたラインを眺めて
中途半端に走る 朝靄のようで
中盤辺りに差し掛かった
本番までの道のり
肩こりを抱えて
どうでもいいプライド
空が何か話している
寂しいものを 見過ごしている
いい加減に
いい加減に
まとまる頭は つまらないもの
ペンを走らせて
つかないマジック 青い色