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カミソリナイフ
カミソリナイフを口で咥えて
死んでゆく日々を転がる
ただ風に吹かれて忙しそうに
少しだけ合間を見れば
届く気がする あの日の夢
悟ったように未熟者が
生きる価値を見出している
真っ白に散った紙吹雪が
紺で塗られてゆくようだ
読みかけの小説が溜まる部屋で
行くあてもなく埃をかぶる
最初から決まっていたみたいに
電熱線を超えて 安全地帯へ
カミソリナイフを咥えたままで
中途半端に知ったかぶり
頭を擦り付けた 机のシミ
黒色に染まった 反抗期の余韻
分かっている事も分からずに
自分らしくはみ出して行く
走る足で はみ出して行く
カミソリナイフを失くしても
失くさないもので勝負するのだ