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四角い住処
街へ飛び込む 無鉄砲のままで
さりげない譲り合い
爆音のロックンロール
いくつもの橋を渡った後で
飲み干す言霊
何かあるわけでなく
何もないわけでもなく
長蛇に並んだ 四角い住処
換気扇を回した
あくびをふたつ
線路の横を何も考えず
赤い瞼に映った 夏の結晶
殴った後の音が聞こえる
ダンボール 銀のはしご 噛んだガム
どれもこれも 咲いた生命
レンガの家を目の前にして
ラーメン屋の匂いが漏れてくる
はっきりしない曇り空に
舌打ちと共に80年代の風
何処と無く可愛げな
感情すべてに
四角い住処から微笑みを
句読点を間違えて
いつまで経ってもできないこと
ポケットの中に忍ばせたものは
このままずっと錆び付くだけなのか