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曇天の最中
助け舟は渡さずに
言いたい放題 逃げ道を塞ぐ
身体を使って 関係ないこと
遊んだ足どりを雑巾で拭く午後
少し甘めの珈琲をすすって
目をこすった 朝の光を思い出す
人相が変わっていくのであれば
形に惑わされずに話し始める
枝豆がおいしい 昨日の夜
原動付自転車で ぐるぐるまわった
終わらない夏
そんな気持ちで居られれば
大人になんてならない部分
優しく撫でて 顔を合わせる
ひとつひとつの発言が
遠回りせずに傷つける
持てる気持ちを滑らせて
曇天の最中 FMラジオ
紺で塗った車過ぎて
頼りなく笑う 終活者
寡黙に願う 蜃気楼
いつまで続くか分からずに
いつまでも続くか分からずに
タイトにキメた上半身
ずさんに履いたブカブカのズボン
煙が立ち込める たばこの吸い殻
簡易トイレへ寄り道して
うるさい噂話を横目で見る
大きく吸って 深呼吸
始まったばかり 始まったばかり