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初動衝動  作者: 絶望大福
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公民館

昔、ここへ来たことがある

さびれた壁は

初めて知った表情を

ひとつひとつ

思いださせる

綺麗に並んだタンポポを

きまぐれの風が揺らしている

昔、ここへ来たことがある

霞んだベンチは

おそらくあの頃のもの

黄色い長靴

知らない掌

ゆっくりと時間が流れていった

消しゴムを噛んだような

歯がゆさが

不意に心を揺さぶるんだ

祭りで買ったアイスクリーム

こんなに狭い円形も

広く広く見えていた

こんなに小さな円形も

高く高く見えていた

怖いものは何もなく

目の前の風船を

ただひたすらに掴みたかった

傾く屋根

剥がれるペンキ

消えた若者

終わった街

死んだ僕

はじまらない

おわらない

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