157/243
通り過ぎた可能性
無言の時間 無限の可能性
近づく度に可能性が低くなる
確信は増えてゆく 好みの違い
通り過ぎるだけのドキドキを思い出す
押すのか引くのか 見極め開始
春爛漫の午後を抜けて
薄い珈琲でかき混ぜる回路
余裕を持った頃に気が抜け
連続した二重丸
頷くだけのスカした気取り
真っ直ぐ並んだ肩を並べて
監禁される 意識の違い
アイスクリームを溶かす陽気に
何度目かのTシャツへ着替える
落ち着くBGMをカクテルと合わせて
屋根まで登る 偽善者のかたち
貼られた電線が死ぬ間際
誤魔化した経験でやりすごす
ここまで出てきて 回るカーブ
苦手意識を色で分けた
ひっそり佇む 建物の中で
行われた 微かな風頼り
風が吹いた 木々を過ぎて
見慣れた道を違う足取りでゆく
さよならまでの短期間
夜道を進む ミラー越しの匂い
さするように気持ちを浮かべて
叶わなかった可能性を
次のすれ違いに花を咲かす