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眠れなかった
かみそり吹く 堕落した真夜中
ガチガチに腫れ上がった頭ん中
レースのカーテン 素手で開ければ
いびきの聞こえる朝の顔
とどのつまり 眠れなかった
イガイガ痛む唇を
八重歯で少し傷つける
Tシャツを変えた 午前3時30分
後戻りできない 分岐点
思いつきで砂を払う
埃がかぶった ヒーローたち
走る音はどこまでも
空間の中 彷徨う瓦礫のまばたき
深層へ紛れ込んだ 風の音
微かに聞こえる 衰えた現実
走る形が違って見えた
こだわらない立ち位置
尖った先でつつく落陽
今日もここからはじまる
ほとんど終わった一日に
絶望の味で乾杯さ
曇った汚れを拭えばそこに
湧き出てくる 元気な死に損ない
温もりと寒さを行き来して
遠い地の君を思い出す
最初のあいさつはまだだったな
バックステージへ消えた 嘘
はっきりまぶたで予行練習
3日前のお茶を飲む
とどのつまり 眠れなかった