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非常階段
すれ違う列車
ハリボテの居酒屋
年季のはいったビルの間
ハッピーソングは
立体駐車場を超える
夜中の空気は素っ気なく
本日は星も霞んでいる
見えない億の星々たち
あいつは再び姿を現す
小さな声で東に向かって
おもいを夜風にのせている
繰り返される日々の中
忘れられない日々の中
ゆびおり程度の思い出は
笑って過ごした最後の記憶
無邪気に笑えた
怯えるものはひとつもなし
澄んだ空気は何処へ消える
遠い街へ吹き飛んだ
自転車乗り込む一瞬の時
あの頃はまだ永遠であった
ここは一体どこだろう
僕は一体どこだろう
ギリギリの非常階段
見下ろす風景
青い傘
寂しい限りの風景がある
東の空の真下
億の星々その真下
あいつがいる
立ち上がれたあいつがいる
立ち上がれたあいつがいる