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掃除
一新された部屋の中
空気も麗しく 心もどこか晴れている
ひよこの鳴き声が聞こえはじめて
昔のロックを最小ボリュームで
膨れ上がる吸い殻が
くしゃみでいやらしく飛び散った
どこかで覚えたやりとりを
心の主と共にする
好きなものをなるべく並べて
一掃された暗闇が
懐かしく思う 日が変わる手前
忘れ去られたライターたちが
春の予感を連れてくる
マイクに叫んだあの頃を
なるべく否定しない空間がうなずく
完成まであと僅か 自慢になる棚
黄ばんだ本が並ぶ先に
ひとかたまりの青春の門
抑揚の日々に 素晴らしい天気を
繰り返される悪との決闘
さあ来いと 意地をはる
白の鏡 えんぴつのハンガー
ハードロックのペンダント
置いてかれた初恋の味
深呼吸して 明日を占う
今度はどんな敵だろう
たばこの煙が目にしみる
揺らぐスカート 揺れる想い
春うらら 曇天の仮面 見上げれば
あとは目をゆっくりつむるだけ