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無情なり
遠くにある欲望を思い出すだけ
日の当たる場所へ出かけた君は
ペースを乱さずそこへ座った
指でなぞって 探した行方を
静かな嫉妬で送った閃き
時は満ちて 違う立場
ゆっくりと重ならない日々を
大きくしてゆく 手を振った
頭の片隅で探すように
あり得ない午後の光を
毛布にくるまり眠らせた
何気に見かけた痩せた模様
合わさった感触も少し寂しい
訳など聞かずあの頃の湯けむり
少し大きくなった声
覗き込むように会話をした
ほどほどには覚えている
軋む川は変わらない
待ち望んだ待遇に
嬉しさもあり 悲しくもあり
無情なり いつも冬景色