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虹色の花
助走は一歩もないままに
粘土で作った街へぶつかる
からくりだらけの緑色の朝日
ラインは既に飛び越える
架け橋は遠い昔に崩れ落ち
今尚言える
紫色の滲んだ文字は
雲に隠れた花を見つけた
線香花火はとっくに消えた
ありあまるかたまりは
ようやく砕けて撒き散らす
水色の竜巻は異国の地
横断歩道を急いで渡る
坂の途中の澄んだ空き家は
桃色の風の匂いがした
身を委ねて転がったバケツ
ふんわり浮かぶその前の日のこと
あっけらかんとツノを磨いて
橙色の昼間を溶かしてゆく
深く被った帽子はなびく
汚れていった足元には川
漂流先で挟んだしおりは
白い色した蛇の皮
アタッシュケースにいらないもの
物置部屋には何もない
両手を挙げた古びた幕は
銀色の夜へと誘い込む
かじったリンゴを明日へ投げれば
雲が晴れて花が咲く