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突破口の秋口へ
トップニュースに躍り出た
ドラマ仕立ての泥試合
鼻で笑う 羨ましさは否めない
伏線を静かに張った
突破口の秋口へ
駆け抜けて残る残光を揺らす
手を振ったはずのろくでなしに
お似合いの空模様だったはず
人それぞれの重圧を
針で突いて 探し物を溶かす物音
急いで回る 世間知らず
叫ばなかった 咲いた花は
切り取られた付箋と散る
カセットテープに吹き込んだ
未使用の物語 夜が明ける頃
舌に残る 苦味を飲み込む
しなやかにその足で
向かう先は 昨日見た夢の中
19の挫折を今ここで晴らす
混ざり合った ゴミ箱の中
忘れかけのパンくず
丁寧に曲がった コンパスの針
指を鳴らす 朝が来る音
だらだらと滴り落ちる雫
線を引くようになぞる
瞼に残る その風景を
今からここで再生させる
さあ行くんだと
言葉ではない何かが
飛び蹴りをくらったように
背中を押す 前のめり
あてのない高架線を
心地よい速度で突き進む
夜中に流れた
サマータイムマシーンブルース
生ぬるい風を浴びながら
行き違った影武者と
つま先を揃えて 行方を知らす