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求めるばかりだ
粉々になった17の電信柱と夏
荒れるばかり 潤いが欲しい
ボサボサ頭のまま
真っ直ぐ向かう先
海岸沿いの吸い付く魂を
別人格へ仕立て上げる
濁った目の前 虫が飛ぶ
終電間際の作られたやりとり
絡み合った木のベンチの傷跡
あと僅かで破壊されるのさ
少し厚めのTシャツを
雑巾と一緒に絞り上げた
星がちらほら
剥がれ落ちるのはうそつきの喚き声
当たりくじを握りしめた
それだけ ただそれだけ
どれだけ遠くに足を運んでも
いつも残る 氷の余韻
かきむしる言い訳と悲しみ
ドカドカ聞こえた ハートの形
転がる石と共に 空き缶と共に
身体をあずける 強気の値段
求めるばかりだ
何も見ない 忘れる歩み
無人の街へ 裸のまま
バケツをいくつかひっくり返し
何もかもをなかったことに
望遠鏡で覗いた場所は
雨と霧で何も見えない
つよがらない 欲しがらない
求めるばかりだ いつもそうだ
くたびれたソファーから
見える いつもの風景
蹴飛ばすものは 求めない気持ち
いつもそうだ
求めるばかりだ