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食い荒らすこと
息を潜めて 同じ時間を長く浸る
飲まれ気味のたばこの煙
淀んで 鼻につくものは
出会いの頃と 違う表情
嘘をお互い吐き続けて
錆びたオノと 生まれたプライド
長い針が夜明けをさす
変更された 魔除けのクリック音
聞きたくもない話の後
乾いた笑い声 刻む物語
バリバリに食い荒らした
土の上に張り付いた 足底
角を曲がった 荒くれもの
赤い花が咲く 柔らかい風の音
ノックが聞こえれば 終わる夏
僅かに残る 言い訳から溢れた始末
開花と共に 枯れたものは
あの頃と同じく 髪を揺らした
流れ去るピストルの音
途切れた音を食い荒らす
曲がったところで落ち着けば
なくなることを 泣き喚け
無情の空にお似合いな獣
畑とコンパスの行方を食い荒らす
回収されないゴミくずの上で
あぐらをかいて 咳をする
紫色のマグネットで重ねた
どデカい扉の向こう側
何かを食い荒らす音がする
心がここから離れていく